MGCへの期待 その2

連日の投稿になるけれど、MGCに向けて私の超個人的黄金世代!笑の、学生駅伝の思い出にもう少しだけ浸りたいと思う。こんな機会滅多に無いから・・・。今日は設楽悠太と服部勇馬について書きたい。

 

設楽悠太

設楽双子兄弟の弟。私は正直弟悠太だけでなく、兄啓太に関してもなぜか思い出すエピソードが少ない。二人とも東洋大学にいたときから東洋の不動のエースだった。それは確かなことだけれど、ただ、それ以上のことがあまり記憶に残っていないのだ。印象に残っていないのは常に安定して速いのと、辛そうな顔をして走るイメージが無いからだと思う。必死感を感じることがない。2018年の東京マラソンでマラソン日本男子記録をなんと16年ぶりに更新した訳だが、当時ゴール直前で見た彼の表情はかなり落ち着いていて、なんだか余裕さえあるように感じられた。(むしろ余裕だったんじゃないかと思ったりする。笑) 双子ゆえに顔つきは兄弟でかなりそっくりで、学生時代からあまり見分けられていなかったのが本音だ。ただ、改めて振り返ってみると学生時代の設楽兄弟に関する私の記憶は兄啓太の印象が多かったはずだ。彼らが箱根ラストイヤーの年、山の神柏原が抜けたあとの大役、5区山登りを担当したのも兄啓太だった。エース級選手は山でもやっぱり安定してるんだな、と当時思った。

記録を一番に突破するというのは並大抵のことではない。記録が一度破られると、一気に色々な人が続けて記録を破り始める。一番に破ることが最も難しいことなのだ。それをやってのけたのは学生時代活躍していた兄啓太ではなく弟悠太だった。兄弟となるとどうしても、下の子が上の子を抜かす印象が強い。双子にもその法則が効くのかは分からない。ただ、スポーツ選手の兄弟といえば下の子が勝つんだろうか、と改めて最近思ったのだった。

 

服部勇馬

さて、スポーツ選手の兄弟であれば、下の子の方が強くなる。と改めて感じたばかりだが、設楽兄弟と対象的に兄が活躍しているのが服部兄弟だ。学生時代から弟弾馬が兄勇馬の存在を超えることはなかった。これは、かなり珍しいパターンではないかと思う。

 

服部勇馬は、東洋大学に入学し、1年生にして、全日本大学駅伝のアンカーに抜擢される。この年、当時3年の駒澤大学窪田忍が同じく全日本のアンカーをつとめていた。1位で襷を受け取った服部は追われる立場の中必死に1位でのゴールを目指す。しかし、駒澤の窪田は前を走っていた服部をあっという間に抜き去り、そのまま優勝のゴールテープを切ったのだった。当時駒澤の窪田は学生長距離界のエースだった。更にこの年の全日本は窪田にとって絶対に負けられない大会だった。何故かというと、全日本の1ヶ月前に行われた出雲駅伝で駒澤は大失敗し5位という悔しい結果に終わっていたからだ。この結果を受けエース窪田は頭を丸刈りにして気合を引締め全日本に臨んでいたのだった。(高校駅伝に出ている選手は丸刈りの子が多いが、)高校卒業したばかりでもない大学3年生。かつ、エース選手の丸刈りは私にとってはかなり衝撃的で、相当な覚悟が感じられた。その窪田に1年の服部が勝てるわけない。それは最初から分かっていたものの、必死に逃げきろうとする姿と、窪田に抜かれる瞬間のとてつもなく悔しそうな顔は、来年以降、絶対的エースになることを強く感じさせた。

このとき、設楽は服部の2学年上の3年生。服部は当時から設楽の背中を追ってきたはずだ。MGCでの服部の注目度はそれほど高くないものの、先輩設楽に是非喰らいついていって欲しい。

 

設楽、服部と今回2人をピックアップしたけれど、MGC出場選手を出身大学別に見ると、実はこの2人と同じ、東洋大学出身者が最も多い。男子選手31名のうち東洋大学出身者は5名、続く青学出身者は4名と大差は無いものの面白いと思った。私はマラソンより大学駅伝の方が好きだ。ただ、選手にとっては大学駅伝は競技人生の内の、ほんの通過点に過ぎない。ほんの通過点に過ぎないけれど、その大学選びでその後の競技人生が大きく変わるだろう。大学駅伝への注目度は年々上がっているように感じる。一番注目されている大学に入ることが、自身の競技人生の土台としてふさわしいのか?私はそんなえらいことが言える立場でもないし何もわかっていない。けれど、通過点に過ぎない駅伝に翻弄されずに、その後も活躍し続ける強い選手達が今後も生まれてくればいいなと思う。東京でオリンピックが開かれるから、とかそんな理由がなくなっても、そうであり続けてほしい。